猫も羽<わ>で数えましょう(旧「大塚ひかりのポポ手日記」since2004)

一切皆苦の人生、だましだまし生きてます。ネットでは、基本的にマイナスなこと、後ろ向きなことを書くスタンスですが、ごく稀にうっかり前向きなことを書いてしまう可能性もあります。

辛かったお産

http://suzumeno.exblog.jp/
これをみて、自分のお産の時のことを想い出した。
もうぜんぜん違うな。
最初に破水がきてしまったんで、22時間、苦しみ通し。途中で気を失って、水をかけられたり、食事もだされたけど、痛みで体力が尽きて、食べられなかったので、点滴に切り替えられた。
本当にあの痛みはかつて経験したことがない、歯痛もものかわの、腰骨が砕けるというか、もうぜったい生きては返れまいという痛みだったっけ。こんな痛い思いを今まで何万年も女はしてきたのかと思うと、先人を尊敬する気にもなったが、あとで聞くと、最初に破水したせいもあって、初産にしても相当重いお産だったそうだから、ふつうはもっとラクなんだろう。

子供をスムーズに出すため陰部を切られたが、気づかないくらい痛かった。出産後、麻酔をして縫ってくれたが、これだけでも痛かったが、あの陣痛とはとても比較など。

とにかく出た時は長くてひどい便秘が終わったようで、さっぱりしたけど、お茶とトーストなんて、出されたとしても、まったく受けつけなかったろうな。
がたがたがたがたふるえがきて、武者震いってこういうの?って思った。
「いたい〜いたい〜お腹切ってくださいー」
と何度も叫んだけど、切ってくれなかったのは私の場合は良かったんだろうが、無理に自然分娩をして子供が窒息死したり、障害が残るケースもある。じっさい、うちの子は胃から謎の出血があって、二週間以上、集中治療室に入れられた。だから私は入院中も何もすることがなく、同室のお母さんたちが乳児室へ授乳に行く時もひとりぽつんと大部屋に残り、「本も読んではいけない」と言われていたので、ぼんやりすごしていた。乳が張って辛かった。いちど夫と手を洗浄してマスクかけて無菌室に入れてもらったら、子供があばれて点滴が外れると危ないというので(うちの子は一週間は点滴ですごしていた)、睡眠薬を注射され、口を半開きにして寝ている姿には、涙がポロポロ零れて仕方なかった。生まれたばかりの時は目がきらきらとあいて、見えているのかいないのか、小さなベッドを蹴ったりしはて、元気いっぱいだったのに。
 医者もあとで、
帝王切開にしても良かったね」
なんて言っていた。
 うちの病院は立ちあい出産禁止だったけど、分娩室に入るぎりぎりまで夫が腰をさすってくれた。夜中の十二時に病院について、翌日は仕事があるので会社にいって、その夜、再び午後八時頃に来てくれたが、まだお産が終わらないのに驚いていた。生まれたのは夜十時過ぎ。
「獣のように叫んでた。女って偉いな」
って興奮していた。

 退院も、他のお母さんが嬉しそうに乳児と家路につくのに、私だけは一人でよろよろとタクシーで帰ったのは哀しかった。帰宅して三日後、子供の見舞いに行くと、
「すごい食欲なので、母乳のませてみてください」
と言われ、含ませると、よく飲んだ。これならというので、その後は入院している子供のために、家で自分で母乳を絞っては、まだカラダもよろよろしているのて、タクシーで病院に届けた。「初乳」をにはたくさんの有効成分が含まれているので、あげるべきだと言われたし、私もどうしても飲んで欲しかったからだ。子供は私に遅れること二週間くらいで家に帰ることができた。結局、病院側は「胃からの出血はお母さんの胎盤の血だったのかもしれません。原因はよく分からない」と言った。この病院はその後、間もなく、割りばし事件で悪名をとどろかせたことを思うと、本当は何でもなかったんじゃないか、だって生まれた時はあんなに元気だったしと、あとにして思った。

 それにしても一週間の入院は長過ぎる。イギリスでは一泊二日くらいだというし、なんにしても、日本は必要な入院はさせないくせに、ムダな入院は歓迎する。歯科だけでなく、医療制度全体を見直さないとダメだわ。