猫も羽<わ>で数えましょう(旧「大塚ひかりのポポ手日記」since2004)

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いってらっしゃい

いってらっしぁい。
いってきまぁす。
いってらっしゃーい。
いってきまぁーす。
いってらっしゃぁーい。
いってっきっまーーーーす。

 早朝のお弁当作りのあと、あまりのだるさに又寝するまどろみの中で、今年一年生になったばかりの子とその母の途切れることのない挨拶が聞こえる。毎朝、これが今生の別れとばかり、ことばをかわす母と娘。うるわしい「初心」がこにある。いつもこんな心で、人とも、ものとも接していられれば。

 そう思いつつ、さらにうとうとしていると、今度は妊婦とその友達らしき女の会話。
「わたし、またこんな体になっちゃったでしょう。だから食欲が凄くてばくばくばくばく食べてたら、ずんずんずんずん太っちゃって」(と、ここに至って、思わず吹き出し、目が覚めた)
「いいじゃない。今はそれくらいで。生まれたら、あっという間に痩せるんじゃない?」
「まさか。二人目だもん。分かるわよ。あなただって見てるでしょう」
「そりゃまぁね」
「はははは」

 みんな己の場所で生きている。鶏は朝鳴き、シバは知らぬ人が来れば吠える。子供は夫と共に学校に行き、私は弁当と朝ご飯を作り、『源氏』を訳し、昼ご飯を食べ、また『源氏』を訳し、犬の散歩をし、子供と夕ご飯を食べて、犬の散歩をする。そのうちに深夜、夫が帰ってくる物音がする。お爺さんは山に芝刈りにじゃないけれど、もしもアウシュビッツの収容所に入れられたら、こんな日常を涙と共に懐かしく思い出すんだろう。って以前にも書いたことがあったっけ。しかし、あの女二人の会話は可笑しかったなぁ。思わず、窓から見てしまったよ。