猫も羽<わ>で数えましょう(旧「大塚ひかりのポポ手日記」since2004)

一切皆苦の人生、だましだまし生きてます。ネットでは、基本的にマイナスなこと、後ろ向きなことを書くスタンスですが、ごく稀にうっかり前向きなことを書いてしまう可能性もあります。

ニツポンジンは〜と歌う男

 シバの散歩をさせていると、向こうから、五十くらいの男が、
「♪迷子の迷子の小猫ちゃんっ」と歌いながら自転車を走らせてきた。なんだか怖いので目をそらしていると、
「日本人は金があり過ぎる〜。暇もありすぎる〜。だからバカになるんだ〜」
と叫んでいた。
 うちの近所には、この手のことを叫びながら、自転車を走らせている男がもうひとりいて、その人はもう八十になろうかという痩せたオジイサン。ちょうど小学生の下校時刻になると現れて、
「にっぽんじんはバカ者だーーっ。日本にはろくな奴はいないー」
と叫んで自転車を疾走させるので、うちの子なども怖がっていた。ここ一年ほど見ないけれど、死んだのだろうか。
 木の芽時におかしな人が頻出するのはよく知られているが、季節の変わり目にも変な人が増える。電車や駅のホームで、
「まったくほんとに腹たつんだからもう」
「ほら、このかばんがまだ破けた」
などとぶつぶつ言ってる五十くらいの女と、七十くらいの女を立て続けに見た。
 可笑しいのは、頭が狂っても男は「日本人は〜」とか「日本は〜」とか、一応、天下国家を論じているところ。
 性差や世代で断じるのは好みではないが、私の見る限り、女のキチガイで「日本人は」と言ってた人はいなかった。男って不憫。いや、女もか。