「シバ、散歩」
と道路側から促すと、門扉の中にいるシバはいったん私の顔を「ちょっと待ってて」という面持ちで見てから、奥に行く。水を飲みに行くのである。ちゃぷちゃぷちゃぷちゃぷちゃぷちゃぷちゃぽ。
散歩中、公園にでも寄らなければ水を飲めないことを知っているから、あらかじめ飲んでいるのだ。
かけつけ一杯じゃないが、でがけの一なめ、いやもっとなめてるのだが、そんな感じ。あるいは、「出かける前に、ちょっとおしっこ」みたいな。飲み終わると即、とっとっとっとっと、道で待ってる私のもとにやって来て、門扉の中で、
「さ、いこいこ」という顔になる。賢い。そして可愛い。