猫も羽<わ>で数えましょう(旧「大塚ひかりのポポ手日記」since2004)

一切皆苦の人生、だましだまし生きてます。ネットでは、基本的にマイナスなこと、後ろ向きなことを書くスタンスですが、ごく稀にうっかり前向きなことを書いてしまう可能性もあります。

は、うまい。切ない。これでガスパッチョが完璧に頭にインプットされた。インプットされても仕方ないが。

http://jp.youtube.com/watch?v=cigapNQyA80&feature=related

東京ガスは、母方曽祖父、つまり母方祖母の父親が勤めていた会社だ。
曽祖父は香川徳三郎といって、叔父によれば今の東工大(祖母は今の慶応大と言っていたが、母も叔父も技師なんだから慶應というのは祖母の勘違いではないかと言う。しかし祖母にとって徳三郎は父。父親の学校名を間違えるだろうか)を出て技師になり、東京にガスを引いて回っていた。そのため、祖母は小学生のころ、五回も転校をしたそうだ。小石川に始まって、神田、広尾、赤堤……色んな所に住んだけれど、神田がいちばん良かったと祖母は言っていた。
当時の東京には至る所に貸し家があって、徳三郎は祖母を連れて「ここに決めた」と言って、すぐ引っ越したそうだ。
祖母はたいへんなお父さん子で、徳三郎も祖母のことをとても可愛がっていた。それで、関東大震災のころ、東京だか横須賀だかにいた祖母を心配して、当時、神戸に住んでいた徳三郎が東京に向かったのだが、そのまま行方知れずになって、それっきりだという。遺体も出て来てないのだ。
死んだ祖母によると、大金をもって出たので、列車で物取りにでも襲われて、大井川にでも突き落とされたのではないかという。

「なんで大井川なの?」
と聞いても、祖母は、
「なんとなく」
と言うだけで、根拠はないようだった。
「大井川ってどんな川?」
と聞くと、
「静岡にあって、ここを越えると関東って感じがするの。色んな県の境にあって、安倍川餅が有名で」
と言っていた。
そんなわけで私が最初に覚えた川の名は「大井川」なのだ。