昔から一貫して私は「なめられる女」だったと思う。
とりわけ不動産関係や美容師関係になめられる。
若い頃は、
「チビで童顔だからかな」
と思っていたが、オバサンになってもやっぱりなめられるところをみると、
「貫録が無いんだ」
と認めざるを得ない。
チビでも痩せていても、なにか醸し出す雰囲気が、侮れない人というのはいるものだが、私は、全身から、
「侮られオーラ」
が出ているのだろう。
重みと深みがないというか。
おどおどしているというか。
いい年をしても、すらすら喋れず、へどもどしているうえ、すぐ調子に乗って躍り出したり、でも粗忽でよくものにぶつかったり転んだりするし、考えがふらふら変わったりするし、まぁいいかと強く言えないところもあるし、そんなこんなで、怒りがたまっていきなり顔を真っ赤にして怒鳴り出したり、その他、色いろなめられやすい要素は、考えるといっぱいある(まぁ、それだけにはたからはおぼつかなく見えるのか、今でも犬が逃げたら…犬に逃げられてる時点でダメ…知らない人が助けてくれたりする。痩せてひょろひょろで小学生みたいに小さかった中学生の頃は、年輩の人に通学電車でかえって席を譲られたりもしたものだ)。
こんなだから、やたらと道を訊かれたり、旅行先では写真とってくれと頼まれたり。これらは最近はさすがになくなってきたが。
私が野村幸代とかデヴィ夫人みたいな容姿と中身だったらなぁ。
と、十年前も思っていた。
★★★
『ラスト・フレンズ』のスペシャル・アンコール編を、『源氏物語』やりながら横目でみた。
相変わらず錦戸がいちばんいい。
思い切り悪役なんだけど、誰よりも色気があって、上野樹里より長澤まさみといった女たちよりも美しい。
色っぽくて美しいのに悪役。
ヒットするドラマや物語は、主人公より悪役が美しいと決まってる。
アニメのヤッターマンの悪役も、ガンダムのかたき役の赤い彗星シャアも、巨人の星の星飛雄馬のライバル花形満も、主人公よりずっと端正で大人っぽくて美しい。
東海道四谷怪談でお岩さんを虐待する元祖DV男の伊右衛門も、美男だから、いいのだ。
こういうのを「色悪」というのだが、錦戸亮(というかソウスケ)は、伝統的な色悪の系譜上にあるのだ。
と、きょう気づいた。
でもさ、ミチルのウエディングドレスを胸に抱いて死ぬソウスケだけど、これ、ウエディングドレス着て死んでたらドン引きっていうか、ソウスケ、DVだけじゃなく、そんな趣味だったのね?と、もっと怖くなって良かったのに。いや、笑いを誘うだけかな……。