哀れビーグル犬

 犬の散歩をしていたら、近所の動物病院のおじさん(獣医さん)がビーグル犬二頭を散歩させていた。
 そのうち一頭の顔面にざつくりと、丹下左膳木枯らし紋次郎といっても分からない年代も多かろうが、深い傷跡があるのだ。あまりに目立つので、
「喧嘩でもしたんですか」
と聞くと、
「いや、違うんですわ」
と関西弁のおじさんは言う。
「息子が医大に行っとるんですが、これ、実験で使われたんですわ。そのまま置いとくと殺されるから、息子がうちに持ち帰ったんですわ」
と言う。
「ビーグル犬ですよね、これ」
「そう。ビーグルはおとなしくて性格が良くて、諦めがいいもんだから、使いやすいんですわ」
「はぁ〜。柴犬とかじゃダメなんですね」
「そうね。ビーグル犬は、ほんまに運命を受け入れるのが早くて、気性がええもんでね」




 人なつこくて性格がいいから実験動物に適しているんだって。
 人間も、誰にでも愛想が良くて人のいいのが過ぎると、このビーグル犬のように何かの餌食になったり、思わぬひどい目に遭うということもあるんだろう。
 柴犬は「犬の中では気難しい」とよく言われ、のどカラカラな夏、この獣医さんのもとで注射のついでに水をもらった際も飲まなかったので、
「ああ柴犬やからなぁ」と呆れられ感心されたが、そのくらいがちょうどいいのかもしれない、人も犬も。
 



 シバ「そんな注射するようなおっちゃんのくれる水なんて、いらんわい」


ビーグル犬http://www.animal-planet.jp/dogguide/directory/dir01900.html
柴犬http://www.animal-planet.jp/dogguide/directory/dir13100.html
ドーベルマンhttp://www.animal-planet.jp/dogguide/directory/dir05700.html