猫も羽<わ>で数えましょう(大塚ひかりの犬・猫・人・他)

♥️昔描いた漫画、毎週日曜更新予定♥️

土本さんの夢

昔、近所に住んでいた土本亜理子さんの夢を見た。
子供とスキー場に行って、滑ろうとしたら、ゴーグルも手袋も忘れている。
「電車で来たから荷物を持てなかったものな。でもウイークデーだからすいている」
と思って、スキー板等をレンタルしに行くと、そこにペットショップのように猫が展示されていて、土本さんがいる。そして、
「よくみて。この子猫、嫌がってるでしょう。このままじゃ死んじゃうかも」
と言う。見ると、その、毛足の長い、太めの猫の足もとにはひときわ小さな子猫がいて、毛足の長い親猫らしき猫は、子猫を嘗め通しに嘗めている。
「かわいがってるだけじゃん」と思って見ていると、子猫の皮膚が赤むけになるほど、親猫は嘗め続けているのだ。
「たしかに。これはまずいかも。親猫をどけたら?」
と目で促すと、土本さんは、親猫の気が立っているから、なかなかそれはしかねるという様子なので、私が親猫にひっかかれないよう、いつもうちの猫どもを扱う要領で猫の脇に手を入れて、親猫をどけた。
「じゃあ子猫、よろしく」と、土本さんを見ると、なかなか子猫をどけてくれない。親猫は並みの猫よりずっと重いし、放せばすぐ子猫のもとに戻っていってしまうだろう。
「お、重い。は、早く」
と言ってるうちに目が覚めた。
スキーは滑らずじまいだった。



土本さんには『ふつうの生、ふつうの死―緩和ケア病棟「花の谷」の人びと』(文春文庫)などの著書があり、歯科心身症(口腔神経症)で苦しんでいた時は、たいへんお世話になった。というか、私が勝手に助けを求めて、支えてもらったものだ。
その亡くなったお母様は猫好きで、十六匹も飼ってて、土本さんがこたつに入ると、猫が敷き詰められている状態だったというくらいだから、土本さんは猫が怖いわけがないのに、なんでこんな夢を見たんだろう。