猫も羽<わ>で数えましょう(旧「大塚ひかりのポポ手日記」since2004)

一切皆苦の人生、だましだまし生きてます。ネットでは、基本的にマイナスなこと、後ろ向きなことを書くスタンスですが、ごく稀にうっかり前向きなことを書いてしまう可能性もあります。

退行現象

5/6付け大阪版朝日新聞夕刊で『平家物語』の祇王の取材に答えてます。


説経節の「をぐり」読み返してるが、リアルとは程遠い話だなぁ。18歳から妻を迎えるものの、背の高いのは深山木の相、背の低いのは人間離れしている、色白女は雪女のようで興ざめだといい、色黒女は卑しい下衆女の相といって、21歳の秋までに72人も妻を迎えては送り返したとか。
あげくの果ては、深泥が池の大蛇に魅入られ、美女と化した蛇と夜な夜なまぐはって、父に常陸に流される。
その先でまた美女照手姫と出逢い、凄まじい苦難の果てに神となる……。
途方もないし古くさいんだけど、残酷なんだけど妙な余ったるさがあって懐かしい。心を遠くに連れていって癒してくれる。



次は「かるかや」と「山椒大夫」。これらも昔は好きじゃなかったが。というか嫌いだった。“あらいたはしや”とか出てくるだけで拒絶反応だったっけ。
山椒大夫」改めて読むと、ほんとにえぐい。
山椒太夫への復讐はのこぎり引き、しかも太夫の息子にやらせるという。まぁ母親の手足の筋を切って歩けなくされたり、顔に焼きごて当てられたり、姉を拷問の果てに殺されたりしたわけだからお互い様なのだが……。
古い稚拙な挿絵の安寿姫が上半身裸にされて拷問されてる図が妙に生々しい。
戦時中、敵兵が父娘にセックスするよう命じたり、いろいろグロいことしてたって話を読んだことあるが、エログロさは共通してる。
こういう説話に懐かしさを覚えるって、やっぱし退行現象だろうな。