猫も羽<わ>で数えましょう(旧「大塚ひかりのポポ手日記」since2004)

一切皆苦の人生、だましだまし生きてます。ネットでは、基本的にマイナスなこと、後ろ向きなことを書くスタンスですが、ごく稀にうっかり前向きなことを書いてしまう可能性もあります。

蛤の草紙

御伽草子「蛤の草紙」で主人公が親孝行の効験で銭三千貫、七千年の寿命を得る、その間、食べなくてもひもじくなく、何も着ずとも寒くないという幸運を授かったというが、味わう・着飾る楽しみを知る現代人には幸運って感じしないだろう。
でも当時はそれだけ過酷な時代だったんだろうな、と思いつつ、
藤木久志『飢餓と戦争の戦国を行く』読んだら、室町・戦国時代の飢饉のひどさは尋常ではなく、餓死者も何万と出た年もあったらしい。そんな過酷な時代には、七千年間、何も食べなくてもひもじくないというのは幸運だったんだろうなと思った。
それで思い出したのは、大学時代、サークル(日本民俗学研究会)で長野の木沢村で古老に話を聞いたとき、昔はもう先のない病人の耳元で「振り米」をしたという話。貧しくて米が食えないから、せめて死ぬ間際、竹筒に入れた米の音を聞かせてやったという。そんなことがつい戦前にはあったという話。
(蛤の草紙については、「産経」の連載「古典にポッ」で書きました……7/17掲載分)



ちなみに藤木氏は、むかし近所に住んでた藤木さんのご親戚と聞いているだけに、
勝手に親近感を覚えている。