猫も羽<わ>で数えましょう(旧「大塚ひかりのポポ手日記」since2004)

一切皆苦の人生、だましだまし生きてます。ネットでは、基本的にマイナスなこと、後ろ向きなことを書くスタンスですが、ごく稀にうっかり前向きなことを書いてしまう可能性もあります。

古典に出てくる歯の話(4)

ミクシィの「歯科心身症&古典」コミュに書いたのと、同じになりますが、以下、「古典に出てくる歯の話(4)」です。
趣味と息抜きで書いてます。





ご無沙汰してます〜。
夏になってしまいました。
夏になると、私は心身が不調になり、今年も歯が痛むし、またか……と思いましたが、歯医者行きたくないのと、どうせまた歯茎って言われるかと思い、我慢してました。
私の場合、歯医者いって削れば削るほど悪化することもある上、数年前、痛いと思って削ったら「虫歯じゃない。歯茎だった」と言われた。今年二月やっぱし痛くなって歯医者行ってレントゲンとったら「見える虫歯はないけど、奥歯の歯茎が後退してる。それで虫歯みたいな痛みがあるかも」と。年ですね〜。

そのうち、「そうだ、こんな時こそ早寝早起き」と五時半起きにして、散歩したりしてたら、いつのまにか痛みはやわらいでたので歯茎だったのでしょうね。



1999年、歯と心がおかしくなったのも夏でした。
そして、2006年、『歯医者が怖い。』を書くに当たって、いろいろな本や古典を読んでいたら、『葛原勾当日記』に辿り着いたのです。
葛原勾当は幕末に生きた盲目の箏曲の達人。
そんな彼の日記を世に出したのは勾当の孫で、「ぎんぎんぎらぎら夕日が沈む」の作詞で名高い葛原しげる
なぜ盲目の彼が日記を書けたのかというと、彼独自の手法を用いたからで、これについては小倉豊文氏校訂の『葛原勾当日記』の解説を参照してほしい。


この日記の存在を知ったのは、勾当の日記をもとに、彼のひそかな恋を浮かび上がらせた太宰治の『盲人独笑』を読んだからで、そこにちらっと歯痛のことが出てるんだが、
手前味噌ながら、葛原勾当を歯という切り口で書いたのは私が初めてだと思う。

とにかく勾当の日記にはしつこいほど「歯痛」のことが出てくるのです。
そこいらへんについては『歯医者が怖い。』173pから182pについて書きましたが、
勾当は、結婚の翌年、数え年27歳の頃から歯痛のことを記しはじめ、46歳では、
“入れ歯師”
という語が出てくるので、入れ歯にしたことが分かる。
ところが、入れ歯を何度変えても気に入らず、
“それから癇癪が起きてござる”
と。読めば分かるけど、その執拗な訴えと症状は歯科心身症そのものとしか私には思えない。

本にも書きましたが、盲目ゆえ、人より五官が鋭かったこと、神経質だったこと、結婚という環境の変化がストレスになったこと等々、歯科心身症を発症させる要素はととのっている。



拙著の宣伝めいて申し訳ないですが、
葛原勾当日記』(今は絶版のようです。良い本なのに)、私の『歯医者が怖い。』とあわせてぜひ読んでほしいな、と思います。
ここにお集まりの方なら、私の言う意味にぴーんとくると思うんです。

葛原勾当日記 (1980年)

葛原勾当日記 (1980年)



以上、ミクシィのコミュと同文。
関係ないけど、テレビはオリンピックばっかしやり過ぎじゃないか。
ニュースもワイドショーも。
ラジオはそうでもないので助かる。