きょうの「読売新聞」夕刊に「うしろ向き古典倶楽部」(だいたい月二回の連載な感じ)第五回目、載ってます。
今回は西鶴の『世間胸算用』から。
“いかに愚智なればとて、人の生死をこれ程になげく事ではござらぬ”(私がいくら馬鹿だからといって、人の生き死にはこれほどまでに嘆くものではございません)て言葉。
「私がいくら馬鹿だからといって人の生き死にをこんなに嘆くほど馬鹿じゃない」っていう世間胸算用の言葉、はじめて見た時、え〜〜って思ったんですが、妙に悟ったようなところもあって、またこの発言者である71歳の婆のキャラが面白くも元気が湧くので、紹介しました。
『世間胸算用』には、正月飾りの伊勢海老の価格が、年末に高騰する前、海老の稚魚を安く買っといて、伊勢海老を買い忘れた息子(豪商)に高い別の物と物々交換する九十二歳の婆が出てきたり、『好色一代女』には同性愛婆が出てきたり、西鶴の作品には面白い婆が沢山いていい。
『胸算用』の同性愛婆のことは、新刊の『昔話はなぜ、お爺さんとお婆さんが主役なのか』でも紹介しました。
- 作者: 大塚ひかり
- 出版社/メーカー: 草思社
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