早稲田の時の恩師の瀬野精一郎先生に『女系図でみる日本争乱史』をお送りしたら、お電話がかかってきて、それは私が、同封したメモに「愛国百人一首」を間違って「愛国万葉集」と書いてしまったらしく、それを正すためであったのだか、そのついでに、いろいろ興味深い話をされて、とてもためになった。
ひとりだけで取っておくのはもったいないし、その内容は先生の御本『歴史の余燼』にも書かれていることなので、ここに記しておこうと思う。
先生曰く、今の憲法は、幣原喜重郎の「戦争放棄を入れてほしい」との意見を入れ、マッカーサーの一存で制定されたもので、戦争放棄に関しては、日本を再軍備させアメリカ軍を補完させたいアメリカ政府はマッカーサーの政策の誤りであったとし、アメリカは一貫して改正させたがっていたと。
とくに昭和24年からの冷戦で、アメリカの要求は高まっていた。
戦争放棄に関しては、マッカーサーがアメリカから責められて責任逃れのために幣原喜重郎のせいにしていたのかと思っていたら、
その後、早稲田の哲学の富永厚教授の父上が幣原氏と懇意で、氏から「自分がマッカーサーに提案した」と、富永教授の父上に話されたという。
『歴史の余燼』にも書きました、というので確認したら確かに書いてあった。p236〜248
つまり現憲法はアメリカ政府の意図とも違うもので、一週間で草案が作られたとはいえ、結果的には良い憲法であって、改正すべきではないし、するとしても議員の三分の二の賛成、さらには国民投票で過半数の賛成を得ないとダメで、得られなければしばらくは改正論は出てこないだろうとのこと。