今さらですが、花房観音さんの『ごりょうの森』を読みました。
いつものように一気読み。
どろどろの生々しいことがたくさん書かれているのに、
なんだろう、登場人物の半分は死者のせいか、その生々しさがイヤじゃない。
霊に対するリスペクトもあって、これはまさに「御」霊だと感じました。
御霊は、かなしく、さびしく、なつかしく、やさしい……。
こんな霊なら共に生きてもいいとさえ思いました。
実際、日本は御霊系の社にあふれていて、霊と人間の距離は近いのです。
常々、古典文学では、男と女、親と子、生者と死者、あの世とこの世の境が薄い、古典文学だけでなく、今の日本でもその傾向はあって、動物人間の境さえ薄いと感じているのですが、この本を読んで同じことを思いました。