医者帰りの電車で声を掛けられた。
シルバーシート(今は優先席っていうんですよね。けど私ら世代はこう呼んでました)に座っていたら、隣に座った人が「赤い十字マーク」を示して、「私、ほら、体が」と言うので、「いや、もうどうぞどうぞ」みたいに言うと(席を譲ったわけではない。私の右隣の席が空いていて、そこに座っていいかという意味らしかった。もちろん「どうぞどうぞ」である)、
「私、くも膜下出血を四回やったんですよ」と言う。
驚いていると、
「お医者さんが言うには、まだあなたはこの世に必要とされているから生きているんだって」「とにかく生きようという意欲が大事!」
と繰り返していた。
私がよほど生きる意欲がなさそうに見えたのだろうか。
それで、神が人に姿を変えて、私を励まそうとしたのだろうか。
まぁそんなことは全くないと思うが、古典文学にはそんな筋がよくあるから。
年を聞くと、「80歳」とのことで、「見えません」と言うと、「でしょ? ほら触って」と、左ほっぺを私に触らせてくれた。たしかにつやつやパンパン。
ほかにも可笑しいことを言っていたが、このくらいにしておく。
