猫も羽<わ>で数えましょう(旧「大塚ひかりのポポ手日記」since2004)

一切皆苦の人生、だましだまし生きてます。ネットでは、基本的にマイナスなこと、後ろ向きなことを書くスタンスですが、ごく稀にうっかり前向きなことを書いてしまう可能性もあります。

生きるための緩和医療

土本亜理子さんから、伊藤真美との共著、
『生きるための緩和医療ーー有床診療所からのメッセージ』(医学書院、税込み2310円)。
伊藤真美は、花の谷クリニックの院長で、土本さんが2004年に出版した『「花の谷」の人びとーー海辺の町のホスピスのある診療所から』で、取材した縁で、今回の本の成立となったようだ。

花の谷クリニックは初台にあるホスピスのようなもので、
最初、2004年の本をぱらぱら見た時は、花の谷クリニックの宣伝かと思って読み始めたが、一クリニックの宣伝ではなく、「緩和医療」という概念と、またこんな医療機関があるということを知らせる「啓蒙的な書」だったと記憶する。
花の谷クリニックは、リハビリに力を入れていて、寝たきりにならないよう、最後まで最善を尽くす医療機関として描かれていた。



ちょうど当時、私の母が脳卒中で倒れ、脳神経外科病院で手当てを受けたあと、転院し、リハビリに励んでいた折でもあって、興味深く読んだ覚えがある。母は幸い、倒れて一週間後にリハビリ病院に入れたから今は歩けるようにもなったが、東京などだと、リハビリ病院に転院するのに一ヶ月待ちなどということもあって、ご近所の知り合いのお母様はそれで寝たきりになってしまった。
前著にも、一刻も早いリハビリの必要性が説かれていて、リハビリが遅れたために寝たきりになる例が多いと、記されていたと思う。



花の谷クリニックについては土本さんの『ふつうの生、ふつうの死 緩和ケア病棟「花の谷」の人びと』(文春文庫)が入手しやすい。
私はもし施設で死を迎えるなら、花の谷クリニックみたいなところがいいなと思ったものだが、こう知られてしまうと、入るのもなかなか大変なことではあろう。
しかしこの手の本が皆に知られ、賛同者が出て、花の谷クリニックのような医療機関が増えればいいことで、それが院長や土本さんの狙いでもあるのだろう。

新刊は、ぱらっと見るに、まさに全国にぽつぽつとある、この手の医療機関五つ(花の谷クリニックを含む)を取材して書かれたもののようだ。
以上、2004年のご本を読んだ時の記憶に過ぎず、新刊に関しては折を見て、読んだらまたちゃんと感想を書こうと思う。