青森の郷土館で見た「サンスケ」が忘れられず、いろいろ検索したところ、郷土館内にある青森県民俗の会が発行している「青森県の民俗」の創刊号にサンスケについて書かれた論文があることがわかり、注文、取り寄せました。
目当ては石戸谷勉さんという人の「津軽のサンスケー山村生活における人形習俗の一考察」です。
同氏の書いた論文が第五号にも掲載されているので、これも取り寄せました。
一冊千五百円が二冊と、送料で三千百八十円。これに振込手数料がかかりました。
読んでみたらこれが面白い!!
「青森県津軽地方では、一二人で山に入ると、山の神の怒りに触れ不幸があるとして「サンスケ」と呼ばれる人形を一体作り一三人であるとする」
という出だしからしてエキサイティング!
現在、サンスケのまとまった研究はなく、唯一といっていいのが氏の論文のようです。
同氏による第五号の「神に捧げる人形代ー小金山神社の事例」も面白かったです。
小金山神社には15センチほどの木偶が多数奉納されていて、その多くに「叶」の文字が書かれているといい、氏はこれを、「叶人形」と名づけて追究しています。
叶人形といっても叶姉妹のことではありませんよ。
結局、これに関しては謎のままという印象ではあるものの、この人形が他の社寺からは報告されていないこととか興味津々でした。
「文字の持つ力と人形代の背後に潜む日本人の信仰の原点の一つとしてこの叶人形を民俗学的にどのように捉えることが可能か考えてゆきたい」
という氏の締めくくりには共感を覚えました。
民俗学、まだまだ面白い、研究の余地がいっぱい残されているんだなぁと思うとちょっと興奮します。