猫も羽<わ>で数えましょう(旧「大塚ひかりのポポ手日記」since2004)

一切皆苦の人生、だましだまし生きてます。ネットでは、基本的にマイナスなこと、後ろ向きなことを書くスタンスですが、ごく稀にうっかり前向きなことを書いてしまう可能性もあります。

瞽女唄・説経祭文

 昨日は、
玉川奈々福がたずねる 語り芸 パースペクティブ」へ。
 萱森直子さんの瞽女唄、ずっと生で聞きたかったんですが、むち打ちの中行ってホントーに良かったです。
 祭文松坂(さいもんまっさか。「まつざか」でなく「まっさか」と発音してらした)もさることながら、
「話松坂」と呼ばれるお笑いが短いながらも、感動的。
 登場するのは「みみずさん」やら「ムカデさん」。みみずさんが恋したのは……そしてその理由もまた、色々可笑しいのです。

 説経祭文の渡部八太夫さんのいかがわしさとかケセラセラな感じも凄い良かった。題目は馴染みの「小栗判官」が舅の無理難題で暴れ馬を乗りこなすところですが、分かりやすくて楽しかった。


 終演後の奈々福さん・萱森さん・渡部さんの鼎談がもうもういつまでもいつまでも聞いていたいくらい、興味津々。

 萱森さんが、最後の瞽女といわれた小林ハルさんに瞽女歌を習い始めた時、ハルさんはなんと95歳!(105歳没)。
「授き物(授かり物)を大事にしろ」
「気構えさえなってれば、周りが何と言おうと大丈夫」
などなど言われ、
また、演者は役によって声色を変えるなどの演出をしてはならず、動きも抑えること。
客は演者を褒めるために来ているのではなく、楽しむために来ているのだから、楽しみの邪魔にならない低い声音を良しとするなど……
聞き手の想像力のはばたきを邪魔するなってことでしょうか。
すべてメモしたいほど、皆、面白かったです。


 奈々福さんも例に挙げてらしたけれど、後白河法皇が乙前に今様をならった時の傀儡女たちのプライドや芸にかける情熱(眠気覚ましに睫毛抜いたり水で目を洗ったり、ライバルとのやり取りなど)を思い出しました。


渡部さんの経歴も芸も可笑しくて、ひょうひょうとしたアバウトな感じで、とても癒され、救われる感じがしました。



惜しむらくは鼎談の時間が短すぎること。
鼎談だけで、二時間はやってほしかった。