新元号、決まりましたね。
“令和”。
『万葉集』巻第五、大伴旅人の家での宴会で詠まれた梅を賞でる歌群の序なんですね。
“初春令月、気淑風和”
という。
令和ってことばがあるわけではなく、ここからピックアップしたんですね。
令と和なら、ほかにもありそうだけど。それこそ漢籍にも……。
風和もいいなぁと感じますが、風に飛ばされそうだものね。
ただ、元号っていうのはもともと中国のまねですから、毎回、漢籍を典拠にしてきたわけです。
それを今回、はじめて日本風にしたみたいだけど、梅花を賞でるっていうのは中国的なんですよね。
元号に使ってる漢字がそもそも中国由来なわけだし……。
『万葉集』の歌だって中国の影響受けまくりなんですけどね。
日本的を追求するなら、元号もひらがなとかカタカナにすればいいんですよ。
とも思うけど、やっぱ漢字がビシッとくるのは、ずっと漢文で書かれたものが正式だったからかな。
まぁ日本の古典文学を典拠にするっていうのは、古典エッセイストとしてはちょっぴり嬉しいです。
なにはともあれ、もったいぶってたおかげでお祭り騒ぎになって、良かった良かった。
(安の字がなくて良かったと言う人もいるけど、私は安の字あってもいいと思ってた。むしろアベさんとかぶるからって外すってのもどうなの? あと、伝統伝統いうアベさんだけど、今まで千三百年以上漢籍からとってた元号を、日本古典から取ることにするって、伝統を破壊していることにはなりはしまいか、とか。なんで急にそうしたのか説明もないし、平成の時と違って、いろいろ引っかかる今回ではある)
「『万葉集』の「人妻」の謎」所収↑