『たまもの』
私は単行本のほうを出版当時買って持っているのだが、とにかくこの本は珍本というか、希有な記録だと思った。
そして主役は坪内祐三だと感じた。
坪内さんの文章はスノッブというか、気取ってる感じがして、実は私は熱心な読者ではなかったのだけれど、
この本に出てくる坪内さんは本当に良いのだ。
この本の中の坪内さんは永遠に残る。
そう思っていたのに、単行本はおろか、文庫まで絶版状態とは……。
とにかくこの本は凄い。
出た二〇〇二年当時も、凄いと思ったが、いま読み返してみても凄い。
神蔵さんの懺悔的な文章も絶妙だし、
神蔵さんによる写真が素晴らしい。
『たまゆら』のほうは残念だったが……。