ん〜、ばれてない?
(そろ〜り、と)
死んだおばあちゃんとチャマのいる白楽の家へ、夜、行った。
玄関に、左から元気のない弟、超にこやかなおばあちゃん、チャマが並び座っていて、右手から、倒れて以来、よぼついているはずの母がしゃきしゃき笑顔で出迎えてくれた。
左の弟は玄関に座ってうなだれていた。
私は、何か、自分に起きた重要なことを知らせに白楽に行ったのだった。
目が醒めた時は、その重要な用事を覚えていて、
「これは、たいへんな吉兆か、さもなくば凶兆か」
と、ぞくぞくしていたのだが、
その用事が何だったのかすっかり忘れた今、
私の頭には、大好きだった明るい顔のおばあちゃんと白楽、そして母も元気なままに、いかなる現実をも無視しはねかえして、どんと居るのだ。
と、思うと、ただ、荒涼と淋しい波が心の中に寄せては返すだけ。