猫も羽<わ>で数えましょう(旧「大塚ひかりのポポ手日記」since2004)

一切皆苦の人生、だましだまし生きてます。ネットでは、基本的にマイナスなこと、後ろ向きなことを書くスタンスですが、ごく稀にうっかり前向きなことを書いてしまう可能性もあります。

五年前から訳してきた『源氏物語』、直しても直しても……であったけれど、やっと今週20日に再校ゲラを渡せば終わる。
最終原稿を入稿した9月末には、母(六年前の十月、脳出血で倒れている)が脳血管性の認知症で精神科に入院する(認知症患者は精神科に入院する)などの予期せぬことどももあり、最後まで気の抜けない年月ではあった。
母のことは、退院後のことを思うと、実家も遠いし、来年八十になる父も今ひとつ心もとなく、頼りにできるのは夫だけという状況で、今までになく心配ごともつのっている。
しかし似たようなことは、どこにでも起きているだろう。
そう夫は励ましてくれるし、私もそう思う。
生老病死、四苦八苦のことばどおり、人生は基本、つらい。
だから好きな古典が読めるうち読めるだけ読んで、書けるだけ書きたい。
行きたい所にも行って、会いたい人にも会いたい。
母も残り少ない命を、少しでも楽しんでほしいし、私らも楽しくやりたいのだ。





とりあえず、夫が父に電話してくれて、医者にアポを取り、弟も呼びだして、今後のことについて医者の意見を聞き、皆で相談する手はずになっている。
まだまだ先は遠いが、少しだけ、光が見えてきた気がする。
いつかこの日のことも、古典に絡めて私は書くのだ。