ふだんは古典文学と漫画、ドキュメンタリー、必要に応じて研究書ばかりで、小説はよほどのことがなければ読まない(読む気にならない)私が、これはどうしても読みたいと思って注文。
著者が作中でなるほどと思わせる批判を展開している「紙の本」の届くのを待って、きのうやっと届いたら、もう一気読み。
なんというか、古典文学や漫画並みに面白い。
ラストは一瞬よく分からなかったが、もう一度冒頭から読み返したら、ああっとなった。
このラストがなかったら、ずっと薄っぺらな物語になってしまったであろうというほど、このラストがあるからこそ、小説の余韻が半端ない。
届いた時、本の薄さを見て、これでこの値段と思ったが、そんなことはなかった。買って良かった。
しかし、こういう本よむと、やはり、その作者の置かれた環境と作品というのは、絶対切り離せないものなのだと痛感する。
作品と作者をあまり結びつけることに関しては、古典文学でも昔から批判のあったところだが、私は一貫して結びつけて考えてきた。
とくに『源氏物語』は、結びつけて考えざるを得ないところが多すぎるので。