メールで「大塚さん」と呼ばれると、「えっ」と思う。「大塚」と「さん」が嫌なのだ。
仕事のメールで「さん」付けメールは今までもらったことがない。
「大塚ひかり様」
「大塚ひかり先生」
である。
これが馴れてくると、
「大塚先生」「大塚様」「大塚さま」になったりする。「様」はいいのだ。「殿」は論外だが。
私的な女友達のメールでは、ふつうは「ぴっかりちゃん」「ぴっかり様」「ひかりさま」「ぴっかり」で、くる。会社のもと同僚や先輩なども「ひかりちゃん」である。
子供の友達の親の場合は、「●●(結婚後の名字)様」となる。私の下の名前を知ってる人は少ないので、どうしても名字だけになるのだろう。
その他、親しみをこめて、はじめからわざと「大塚さん」と話し言葉でいってくる人ようなもいる。ミクシィというのをやっていた頃、面識のない人からメッセージをもらうことがあったのだが、不思議とそのメッセージでは「大塚さん」と呼びかける人が多い。
が、はじめのうちは「大塚ひかりさま」「大塚ひかり様」などとしていた人が、ある時点から「大塚様」「大塚さん」になっていくのは、明らかに私との距離をとろうとしたり、私を恨んだり怒ったりしている場合である。
そんなことをしても、関係は何も変わらないし、こっちはムカつくだけなのだが、本人はそうすることによって、けじめをつけようとしているのだろう。
たしかに呼ばれ方でこちらの印書もちがってくる。
が、いずれにしても、誰からメールをもらうにしても、「大塚ひかり様」「大塚ひかりさま」が見た目にも印象的にも感じが良くていい。
そもそも私は結婚していて本名はもう「大塚」ではないのだ。しかも結婚二十年も経っていて、子供もいるから、近所でも学校でも病院でもふだんは「●●さん」と新しい姓で呼ばれている。だから「大塚」だけで「ひかり」という名が入っていないと、自分ではないような感じさえ覚える。かといって「●●様」と言われるのもピンとこなくて、「●●ひかり様」なら、気持ちの帳尻が合うという具合である。
要するに、「大塚」も「●●」も仮の名前という気がしてならず、私の本当の名前は「ひかり」だけであると思っているのだ。
いっそのこと、合併したすべての銀行名を残して長ったらしくなった「東京三菱UFJ」のように、「大塚●●ひかり」にしてしまおうか。
内田春菊みたいに何度も再婚して、それぞれ子供の父が違う人は、内田大久保貴山春菊とか、もう全部、ひっつけて名前にしてしまうとか。寿限無か。ああ、O久保さんの子はいないんだっけか。
あと、夫のことを「うちの●●が」と姓を呼び捨てにする人は多い。私の親しい女友達もいとこたちも全員そうだが、私はちょっと抵抗感がある。なぜなら私の姓もその「●●」だし、子供もまた「●●」だからだ。夫のみを、その姓をさして呼ぶのがあたかも礼儀正しい呼び方のようになったのは、いったいいつごろからなのだろう。夫婦別姓の頃の名残なのだろうか。源倫子が「うちの藤原が」とか、北条政子が「うちの源が」とか……。うーん、それはまずないだろうね。(大塚・●●・ひかり)