猫も羽<わ>で数えましょう(旧「大塚ひかりのポポ手日記」since2004)

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雨の日は……

maonima2008-05-26

源氏物語』を訳してて困るものの一つは「時刻」である。
たとえば、「申の刻」は、秋山虔その他校注・訳の小学館『日本古典文学全集源氏物語2』『新編日本古典文学全集源氏物語2』では「 午後四時から六時まで」とある。
が、玉上琢彌の『源氏物語評釈』では「今の時刻で午後三時頃から五時頃までに当たる」という。

小学館の『日本国語大辞典』を調べると、「現代の午後四時頃。またその前後二時間」とあって、そうなると、玉上説が正しいように思うが、教科書の副読本になっている中央図書の『新編国語便覧』95ページ[時刻]によると、
「一昼夜を十二等分し、それに十二支を配して午前〇時前後二時間を子の刻、順次丑の刻、寅の刻と呼ぶ。午前〇時から二時までを子の刻とする説もある」
とあって、これに従うと、申の刻は「三時から五時」に当たるものの、「とする説もある」という説に従うと「四時から六時」になる。

 こんなにも時間て曖昧なのか! 
『新編国語便覧』と小学館の古典文学全集『源氏物語』と、両方の編纂にかかわっている秋山虔に意見を聞きたい所だが、時代によって、季節によって、不定時法だったからこういうことになるようだ。

 やはり小学館の『国語国文学手帖』では古時刻法を「平安時代前後」と「江戸時代」に分け、前者では「午前零時を子の刻、二次を丑の刻のように呼ぶことが行われた」とあるので、私はそれに従って、申の刻なら「四時前後」と訳している。



 しかし当時の時間はこんなふうに曖昧だったから、今みたいに5時15分に行くからとか約束できなかった上、携帯電話もメールもないんだから、待つ身も辛かったろうね。