猫も羽<わ>で数えましょう(大塚ひかりの犬・猫・人・他)

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西鶴作品の元気婆

井原西鶴の作品には元気なお婆さんが多い。
世間胸算用』には伊勢海老を買い忘れた息子に、稚魚のうち安値で買っておいた海老を高値で売る九十二歳の老母や、なくした銀が一年後、息子のいる母屋で見つかったからといって、一年分の金利を息子から取り立てるがめつい七十一歳の老母が出てくるし(次の近畿「産経」夕刊=毎週火曜連載で書いた)、
『好色一代女』には七十あまりの同性愛の婆さんも出てくる。
西鶴の作品は「好色」と付くものが多い割に、あまりエロくはなく、むしろ当時の優れたルポルタージュとして読めるのでは? と思っていたが、
西鶴って、今なら優秀な社会学者になれたんじゃなかろうか(社会学者をしながら、小説を書くような感じの)。


西鶴の何が凄いって女性同性愛をはっきり書いているところだ。
平安末〜鎌倉初期に書かれた『有明けの月』なども女性同性愛的な要素はあるけど、はっきりと、ではない。
男性同性愛はすごーく古典文学に多いのに、明確に女性同性愛を描いてるのって、『好色一代女』くらいなのだ。
しかも、一代女は雇われる時「家の中で見たことは口外してはならぬ」と口止めされていたり、婆が「来世では思いきりこういうことがしたい」と言っていたり。
男色と違って随分肩身が狭かったことも浮き彫りにされている。