猫も羽<わ>で数えましょう(旧「大塚ひかりのポポ手日記」since2004)

一切皆苦の人生、だましだまし生きてます。ネットでは、基本的にマイナスなこと、後ろ向きなことを書くスタンスですが、ごく稀にうっかり前向きなことを書いてしまう可能性もあります。

WEB日本語

http://www.web-nihongo.com/column/yakusenai/index.html

いま出ている『月刊日本橋』http://www.nihombashi.co.jp/menu/heya/heya_index.htmlに医科歯科でお世話になった現さちクリニック院長の「小野先生のこと」、『青春と読書』に群ようこの『小美代姐さん愛縁奇縁』について書きました。


★★おとといは、先日、松任谷正隆さんのラジオ番組に出たおかげで、生まれて初めてユーミンのコンサートへ行く事に。クラシック以外のコンサートに行くのは、実はこの年になるまでこれが二回目だったので、あまりの大音響に驚いたのもつかのま、ユーミンのエネルギーにやられてしまいました。最後にロシア人のややこしいメンバー数十人の名前をすべてそらで次々と唱えていたのがとりわけ私には「凄い」と感じられたという……。

私の青春時代といえばユーミンなしには語れないような世代ですが、あまり知らない新曲も多く、森進一なんて十年一日、おふくろさんで食いつないでいたことを思うと、あらためてユーミンのアーティスト魂を感じました。でも本音をいえば、往年のヒット曲をもっと謳ってほしいところ。
ラスト近くで有名な「真夏の夜の夢」がバーンと流れた時には、総立ちになっていたから、ほかの人もやっぱり有名な曲が嬉しいのです。
私もさすがに昔に戻った気がして興奮しました。ちょっと違いますが、『源氏物語』の「藤裏葉」で、光源氏たちが昔、舞った舞曲に、若かりし日を思いだしたような……。

いま、来年の千年紀に向け『源氏物語』の全訳をしていて、朝から晩まで食事をしている最中も訳しているような状態で、時に食べてるものを吐いてしまったり、くじけそうなこともままあるのですが、ユーミンのパワーには、心底、元気づけられました。
訳にも役立ちました。『源氏物語』の光源氏はスターなんだなと。そして老いるスターの残酷をも描いた物語なんだなと。

なのにユーミンには否定的な感じの老いが感じられないのがまた驚異的で、積もる年月をもパワーに取り込んでどんどん臈長けているのにはびっくり。自分は一見、脇役に引いたように見せて、サーカスやらシンクロの若い人たちを巻き込んで、実は自分の世界をパワーupしているという、いい意味での「老獪さ」が感じられ、さすが……と思ったことです。

近くで目を凝らして見ても、本当に腕の筋肉などもよく鍛えられていて、それでいてまろやかな体つきに、いかに日ごろ精進しているかがしのばれました。二時間歌い続けるだけでも、恐ろしく体力を消耗するはず。それが連日で、日によっては二回もなんだから……。自分を引き合いに出すのも畏れ多い話ですが、私だったら、一曲、歌ってバタンキューです。


 それにしても、ユーミンはこんなに恋の歌ばかりですが、松任谷さんとはどういう夫婦関係なのか、興味が湧きます。あれほど浮いた噂のない夫婦もいないかと思うのですが、なぜ何十年も恋の歌ばかり更新できるのか。やはり天才だからなのか。昔の夢を反芻しているのか。謎の夫婦です。

★★★そういえば六月末には、三月から予約していたオペラ「道化師」も一家で見てきました。思っていたよりも面白く、そして私だけが泣いていて、周囲で浮いてしまって困りました。
源氏物語』が一段落してから出る本の準備も、息抜きにしているのですが、この作品についてさまざまに思ったことは、その原稿にすべて書きました。私が生きていれば、再来年には皆さまのお目に留まることでしょう。