猫も羽<わ>で数えましょう(旧「大塚ひかりのポポ手日記」since2004)

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平安中期の一里は今の一里よりずっと短いし。


★今日か明日あたり発売の、円地文子訳『源氏物語』第四巻の解説を書きました。
三巻の解説は山本淳子さん。『紫式部集論』を書いた山本さんらしく、紫式部の人生と光源氏を重ね、「『源氏物語』の中で、紫式部光源氏を自分と同じ目に遭わせている」、紫式部が『源氏』を書いたのは「喪の仕事」としている。
一巻では、瀬戸内寂聴が、円地文子の思い出を書いている。当時六十代だった円地さんは小柄で色白だったが、『源氏』を訳して興奮すると、その白い肌が「ぼうっと桜色になり、髪も逆立っている」という具合だったらしい。
二巻の解説で石田衣良が『源氏物語』は「リアルさ」と「軽薄さ」の二重性に支えられている、と言ってて、軽薄さという観点で考えたことなかったが、言われてみるとなるほどで、目から鱗


★今日あたり発売の『クロワッサン』特別編集「美しき日本の手技」(日本の手技102)に、おかめの京人形と、雨城(ママ)楊枝。ずいぶん前に書いたものがほかの人のと収められている。写真がとても綺麗です。
鎌倉彫もある。鎌倉彫といえば死んだ祖母が趣味で作ってて、これがけっこう上手で、家には祖母手製の鎌倉彫の皿なんかがあるんだが、活用できてない。



今野敏さんの『蓬莱』が面白かったので娘にも読ませたら、
「なんか、そもそも社員が殺されてるのにまだゲームソフト出そうとしてるって設定が現実味ないし、ラスト、みんな平然としているところがアレで、ずいぶんさっぱりした性格の作者だねって思うけど、どんどん読めるし、怖くて面白いね。これ、映画になってないのかな。あとこの蓬莱ってゲーム欲しい」
と言ってて、以来、国作りゲームっぽいものを見ると、欲しがる娘である。
たしかに娘の言う通りだが、運動馬鹿みたいなのの成れの果ての描写はなるほどそうかと納得、後半の蓬莱に秘められた謎のところなど、本を読んだ直後は怖くなってなかなか寝つけなかった(面白いものは大なり小なり、どっか怖いものである)。
でも、あとに引きずるものもなく、自己に向き合わされることもなく、本当にさっぱりしていていい。娯楽はこうでなくっちゃ。


ねちねちしたのは『源氏』でたくさん。
そんな『源氏』もやっぱし軽薄さもあるし、怖くてずんずん、面白くてするする、時に教科書、時に頭にビジュアル浮かびまくりの漫画みたいに読めるところもあるし、いろんなニーズに応えてくれる。
あんまし疲れてる時は、自分に向き合わされて、きつくてヤだが。
ねちねちした娯楽がほしい時あり、さっぱりした娯楽がほしい時あり、人それぞれ、時と場合に応じて、欲するものって違うよね。



あと今野さんの『膠着』は接着剤メーカーの会議が膠着する話らしく、「くっつかない接着剤」なんてのも出てくるのだとか。こりゃあ読みたい。
娘にも夫にも安心して読ませられるのがこの人の小説の特徴だ。