猫も羽<わ>で数えましょう(旧「大塚ひかりのポポ手日記」since2004)

一切皆苦の人生、だましだまし生きてます。ネットでは、基本的にマイナスなこと、後ろ向きなことを書くスタンスですが、ごく稀にうっかり前向きなことを書いてしまう可能性もあります。

今日は母の見舞い。
行ってみたらゆかに横になっていて、しかも頭には座布団みたいなものを当てて寝ていたのでびっくり。
「どうしたの?」
と聞いたら、
「ベッドから落ちて、戻ろうとしたけど、どうしても戻れなくて、二度目は合法的に寝た」
と言う。
「合法的に」というのは「自分から」という意味らしい。座布団は手近にあったものを引っ張って、自分で頭に当てたのだという。
なにか買い物に行こうとしていたんだという。
買い物のできる場所はホームにはないから、夢でも見ていたのだろう。
夢といえば、こないだ夫と子供が行った時は、
「じーじがくじらにのみこまれたんだけど、噛まれなかったから無事だった」と母が言ったらしく、子供が、
「夢じゃない?」と聞くと、
「えっ、じーじに聞かなかったの?」
と真顔で言っていたというので、今日も、
「そういえば、パパがくじらにのみこまれた件は」
と聞くと、
「そうなのよ。くじらのカラダの中を一直線に通り抜けて出てきたの」
「夢じゃないの? パパはそんなこと言ってなかったよ」
「夢じゃないんだけどね、どうやら嘘だったかもしれないって、最近じゃ思うの」
「パパの嘘?」
「そう」
と言うので笑ってしまった。
ホームの人が心配して、血圧や熱をはかったり、こぶを調べてくれたが、何も異常はなかった。
それどころか、生命の危機っぽい状況に陥って、ぼけてるなりに脳が活性化したのか、いつもより顔つきもしゃっきりしてて、食欲もある。
「痛いとこない? 首とか回る?」
「回る。つるつる回る。お皿に載せたお椀みたいにつるつるつるつる」


「そういえばママ、マッサージのお兄さんと結婚したいんでしょ」「何言ってんの。馬鹿馬鹿しい」。
 いや、ママがパパに「マッサージのお兄さんと結婚する」って何度も言ってたんじゃ……。
それとも娘に言うのは照れるのかな。
夫には言えるってのも変だけど。



「退屈なことない?」
「退屈っていうか、このままでいいんだろうかなって思う。また英語でがっぽと稼ごうかなとか(笑)」
「さびしいことない?」
「こんなに人がいるんだもん。寂しいことなんてないわよ。でも買い物とか、したいなぁと思う」
「ここの人はみんな親切。職員も住んでる人も。パパも来ればいいのに」
とも言っていた。




行きの道は珍しくすいていた。
帰りは環八が少し混んでた。