猫も羽<わ>で数えましょう(大塚ひかりの犬・猫・人・他)

♥️昔描いた漫画、毎週日曜更新予定♥️

今日も母の見舞い。
今日は結婚記念日で、午前中、父が来ていたと、スタッフの人。母は、先週よりずっと衰えていた。
ここんとこ運動能力の低下が著しい。
しかしぼけているにもかかわらず、話は相変わらず面白かった。間がいいのだ。


母が新しいズボンはいてるなと思ったら、パパが結婚記念日だからというので買ってくれたそうだ。
「パパがはいてるズボンいいねって言ったら、女物もあるから買ってきてやるって言って、すぐ買ってきてくれた」
って。
「じゃあ、ペアルックだね」
と娘が言うと母は笑ってた。

「パパに、大事なものから棄てていいわよって言ったの。それでパパにとって一番大事なものって何? って聞いたら、あたしだって」
「それじゃあ、ママが真っ先に棄てられるね。それに大事なものから棄てるって、訳分かんない。普通、大事じゃないものから棄てるんじゃないの?」
 私が聞くと、母は笑ってた。

 今日は娘や夫の名前が分からなかったが、自分の孫や娘婿であることは分かっていた。
 しきりに白楽が懐かしいと言っていた。
 それで私も無性に白楽が懐かしくなって、帰り、夜になってしまったが、白楽に寄った。
 ところが暗い道を歩くうち、迷ってしまって、
「白楽は自分の庭みたいなもんだって言った癖に」
と、夫や娘にさんざん馬鹿にされてしまった。
 生まれた場所は今は親戚が住んでいるし、車椅子の母を連れてくのは容易じゃないだろうが、白楽に連れて行けたらいいなと思う。




母は毎食ごとに口紅を塗っているせいか、ホームに入って一年ちょっとで口紅の消費量が三本。
私よりピッチが早い。
スタッフからも「口紅が足りない、なくなったとおっしゃるので、次に持ってきて下さいね」と言われた。
食堂を「おおやけの場所」と母は言ってて、「おおやけの場所に行くには綺麗にしなきゃ」と母はとらえているようだ。