『源氏物語』の六条御息所と葵の上の“御車の所争ひ”は有名ですよね。
賀茂の新斎院が立たれ、賀茂祭のための禊ぎを賀茂の河原で行う“御禊<ごけい>の日”、源氏が行列に加わるというので、見物に来た愛人の六条御息所の車を、あとから来た妊娠中の正妻・葵の上の一行が、どけさせ、車のながえを載せる“榻<しぢ>”と呼ばれる台なども壊されてしまった。
その時の恨みなどから六条御息所は生き霊となり、さらに源氏の慰めが足りないことなどから、生き霊の活動が激化して、葵の上は出産後、帰らぬ人となる設定です。
そんなふうに場所争いというのは、自分の権力や地位を見せつける格好の機会でもあり、また恨みのもととなることなのですが……。
うちの15歳と19歳の老犬猫も、時に、場所争いをしとります。
たいていは、先住猫のポロ(雄)が、シバ(雌)の寝床をちゃっかり取ってしまい、それをシバが許容するというパターンなのですが(ポロと亡き雄猫タマはオス同士ゆえか同種ゆえか熾烈な争いを展開し、結局、タマがポロに譲るか、あるいは仲良く共寝して落ち着くというのが常だった)、ゆうべは、いつもと違ってシバが小さなポロの寝床を占領してた。それに気づいたポロ↓
おむつを付けられたポロに、「ちょっとそれ俺の」と圧を加えられ、起きてしまったシバ。一瞬、不穏な空気が漂う。↓
しばし、見つめ合って……ポロは視線を外してるので、負け?↓
と思いきや、「はいはい」と、どくシバ↓
「まーね、ちょっとかゆかったから、体動かしただけ」というふりをすることで、「負け」をなかったことにするシバ。↓
落ち着くシバ。「きょうはここで寝るんだ〜♪」↓
賢いですなぁ。
優しくもある(シバは、ポロが家族にかわいがられてるのを見て、大事な存在と分かってるし、シバ的にも自分の群れの一員と見なしている。ポロはなんも考えてない感じ)。
「場所取り合戦」とタイトルしたけど、まったくの無抵抗主義によって、平和な夜が保たれました。
なんてエライの、シバつん。
涙ほろり。