私の本の帯が出た時、ほらまた、男色礼讃だ、古典文学の都合のいいところだけ切り取っている、かつての男色が児童虐待、性虐待の側面があるといったことを指摘している人を見たことがないと言っている人がいましたが、これは、自分の不勉強を宣伝しているようなものですね。
まず、前近代の男色が児童への性虐待の側面があるということは、乃至政彦氏が丁寧に検証、主張しています。
私も、乃至氏のこの御著書の影響もあり、『本当はエロかった昔の日本』で「河童と男色」という章で言っていますし、小谷野敦さんも常々そのように指摘しています。
寺院はもちろん、院政期の男色にしても、「階級」的に上の者が下の者を犯すという側面が大きい事は古典文学を読めば、すぐ分かることです。
今度の本でも、
p32「対等の男同士が愛し合うという現代人が想像しがちな男性同性愛は、男色の中の一握りだったのです」等、書いております。
そもそも冒頭に、男色と男性同性愛の違い、BLの違いなど書いていて、一切、混同などはしておりません。
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私の本を差別的であるとか、男色を美化しているなどと的外れな批判をしていた人にこそ読んでいただきたいです。
尤もそういう人は、「かつての男色が性虐待であるという指摘は見たことがない」とか書いてしまうほど不勉強な人たちですから、この本には辿り着けないかもしれませんが。
まぁ、オビや表紙だけで判断していたら無理もないですよね。
そういうところでだけで、中身を判断する。
版元が祥伝社では……と書いてた人もいましたからね。
そういう人は、グッチやらヴィトンといったブランドに弱いことを自らさらけ出しているようなものですね。
ブランドが好きなのは別に構わないのです。
ブランドは手っ取り早い判断基準ですからね。
いちいち素材や中身を吟味してられっかというような人にとってはブランドはとても良い物です。
千年前の『源氏物語』だって、物語がサブカル視されていたころに生まれたからこそ、一条天皇、藤原道長、公任といった至高の身分、最高権力者、当代一の文化人たちも読んでますよ〜と(まぁかなり回りくどい表現ではありますが……詳しくは拙著『源氏物語の教え』に書いてます)、作者は日記でアピールしたわけですから。
つまりひとり『源氏物語』という自分の作品だけでなく、「物語」というブランドの底上げをはかっていたわけです。
人間の多くは面倒くさがりだから、ブランドが好きなんですよ。
でもいやしくも研究者を名乗っていたり、ものを書いたり描いたりして発信するような人が、そういう態度というのはどうなのか。
「男色の多くが小児性愛の側面をもつことを指摘している本て見たことない」とか間違ったことを拡散するのは、いかがなものか。
まして反差別を主張しているような人がそういうのって、ほんとうに滑稽。
ブランド品好き〜〜ほしい〜〜と言ってる人のほうが、よほど爽やかで、筋が通っていますよ。
実はブランドに弱いくせに、反差別を標榜する人たち……って、言いもてゆけば、自分のことがまるで分かっていない権威主義の人たちなんですよ。